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孤独死(孤立死)

その電話が入ったのは、8月13日の午前11時頃だった。

 

8月13日というと、旧暦のお盆。ここ北海道ではお墓参りの最盛期。我々お墓納骨堂業界では一年のうち最繁忙期である。

 

歳の離れた従兄弟からの電話であった。

「〇〇が亡くなったって警察から電話があって...」

自分より20歳年上の従兄弟は兄弟が多く、その一番の年下の弟が亡くなったという電話だった。この従兄弟も自分より10歳年上になる。

 

警察が言うには、部屋で亡くなっていたのを賃貸マンションの管理会社が発見、警察に連絡が入ったとのこと。既に、遺体は死亡確認の上、今警察署に安置しているので、遺体の引き取りをお願いいたいとのこと。できれば葬儀社と一緒に来てほしいとのことだった。

 

従兄弟からの電話があったときも、顧客対応などでてんやわんやの状態であった。

 

我々は葬儀会社ではないですが、仕事柄、今亡くなったんだけど、どうすればいいでしょう?という電話を受けることがある。

また、自分自身、近親者の孤独死は以前にも経験があった。

 

亡くなった従兄弟の賃貸契約時の保証人が、電話をくれた一番上の兄であることは想像できた。

だが、既に警察に安置されている?

恐らく家賃の未納が続き管理会社の担当が確認に部屋を訪れた際に、発見されたものと想像されれるが、そこで警察に連絡するのと同時に保証人にも連絡すべきであるだろうと。

親族が現地に来るのを待っていられない急を要する事態だったのだろうか。

などと一瞬疑念を感じていたが、それより葬儀社の手配が先である。

 

従兄弟からの電話が入ってから、約1時間後には知り合いの葬儀社とともに札幌東警察署に自分はいた。

葬儀社は署内の遺体安置所へ向かい、自分は電話をくれた従兄弟とともに署内へ入る。

 

警察の担当から事情説明を受け、亡くなられたのが本人であるか確認してほしいと言われ、現場写真を見せられた。

「少し衝撃的な写真ですが...」

こういった場合は、テレビドラマでは遺体に対面するのでは?と思ったが、遺体の腐敗が激しいからなのか、現場写真による本人確認が行われた。

 

自分自身、亡くなった従兄弟に約10年は会ってなかった。記憶にある姿とはあまりにもかけ離れた姿にショックを受けた。だが、紛れもなく従兄弟の姿である。

「本人に間違いありません」

 

葬儀会社とは既に、亡くなった従兄弟の氏名、生年月日、宗派、お寺、独り身であること、両親は二人とも他界していること、喪主施主になるのは亡くなった従兄弟の兄であること、親族の数、想定される会葬者、葬儀の希望などは伝えてあった。

喪主となる従兄弟とも相談の上、葬儀会場は葬儀社所有の家族葬ホールと決まった。

 

遺体は葬儀会場へ搬送される。

その間に親族には葬儀会場の連絡。お寺への連絡では、枕経に来ていただける時間と葬儀日程の確認。

 

葬儀会場に着いてから、葬儀内容の詳細な打ち合わせ。あとは葬儀社の段取通り会場のセッティングが進んでいく。

 

遺体発見時点では髪や髭が伸び放題だったが、親族が集まりだした頃には遺体の状態が整えられていた。

通常は、親族が見守る前で湯灌が行われるが、今回は遺体の状態が良くなかったため、親族にショックを与えないという葬儀社の配慮で先に行われた。

 

東京都監察医務院のデータによると、孤独死で亡くなる年齢層は、女性の場合は高齢になるほど高くなる傾向があるが、男性の場合は50代から高くなり、60代後半から70代前半が最も高くなっている。

単身者世帯がますます増えていく中、孤独死リスクが最も高いのが60台後半の男性と言えます。単身者が抱える、自分が孤独死したら葬儀は誰が出してくれるのだろう、この部屋の遺品整理は誰がしてくれるのだろう、とういう孤独死への不安。

 

孤独死あるいは無縁死という言葉が広く知れ渡ったのは、平成22年のNHKスペシャル「無縁社会~“無縁死”3万2千人の衝撃~からでありますが、孤独死は増え続けている。高齢者人口が増えるから孤独死も増え続けるのでしょうか。

単身者の見守りサービスがいくら増えても、単身者自身が利用しなければ孤独死は亡くなることはありません。

 

横須賀市「エンディングプランサポート事業」のように、行政が本腰を入れないと単身高齢者の不安、そして引き取り手のない遺骨は増えていくのでしょう。

 

今回、自分の従兄弟の孤独死では、親族が葬儀から遺品整理まで対処してくれました。

孤独死して対処する親族もいないケースでは、遺品整理は賃貸住宅のオーナー自ら対処することになってしまうのです。

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もう一つの孤独死